北条政子さんは、「良い国つくろう鎌倉幕府」を開いた源頼朝さんの妻です。
頼朝さんが先に亡くなってしまうと、自ら幕府を引っ張り「尼将軍」と呼ばれるようになります。
妻としてでは、恐妻家であったとされ、「日本三大悪女」なんて呼ばれる一面もあるのです。
実際のところどのような女性だったのでしょう?
そして、悪女と呼ばれた理由とは?
それではまいりましょう。
※歴史上のことなので諸説あります。
北条政子、簡単プロフィール!
1157年、伊豆国(静岡県)の豪族・北条時政さんの長女として生まれる。
時政さんは、平氏との戦いに負け伊豆に流刑された源頼朝さんを監視するお役目でした。
20歳頃、政子さんは父の反対を押し切って頼朝さんと結婚します。
監視していたにも関わらず、娘が結婚してしまうとか大問題でしたでしょうね。
頼朝さんは、政子さんと結婚する前に別の女性との間に男子を授かっています。
しかしその女性の父は、平氏の怒りを恐れ、子供を海に置き去りにしてしまったのです。
それほどまでに皆が平氏を恐れていたということになりますね。
その後、頼朝さんと政子さんの間に長女が誕生すると時政さんも2人を認め、北条家は頼朝さんを支えていくこととなります。
政子さんが42歳頃、頼朝さんは落馬が原因で亡くなってしまいます。
政子さんは子に家督を継がせ、自分は出家して尼になります。
しかし、2代目将軍、そして3代目が相次いで暗殺されてしまうのです。
政子さんは「尼将軍」として幕府を引っ張っていくこととなります。
65歳頃、朝廷が力を取り戻そうと鎌倉幕府に争いを仕掛けてきます。
幕府側の武士たちは動揺を隠しきれません。
そこで政子さんは家臣に向けて演説を始めるのです。
「みなさんの頼朝様への恩は山よりも高く、海よりも深いはずです。敵の戯言に耳を傾けず、将軍の意向を全うしてください。それでも朝廷側に付きたいのなら、行っても構わないのですよ!」
この言葉により家臣たちの動揺は収まり、19万の軍勢にまで膨れ上がった幕府軍は朝廷軍を撃ち破ったのです。
聞く者の心を動かす演説というものを、一度は聞いてみたいものですね。
その4年後、69歳で死去しました。
政子の嫉妬深い性格!
政子さんがお腹に子を授かっている時、頼朝さんは浮気をしてしまいます。
それに気付いた政子さんは、その女性を匿っていた家を壊してしまったのです。
それでも気は収まらず、その家の持ち主を流罪にしてしまいました。絵に書いたような「鬼嫁」ぶりですね。
さらには、頼朝さんはある姫を自身の側室に迎えようとしますが、姫の父は政子さんの怒りを恐れて実現させなかったお話もあります。
政子の「鬼嫁」がもう世間にばれちゃってます。
またまた政子さんのお腹に子がいる時、再度頼朝さんは浮気をしました。頼朝さん懲りてない。
その女性との間に子供が出来たのですが、隠されるように育てられ、7歳の時に出家させたのです。
当時は正室以外に側室を迎えて子孫を増やしていくのが一般的ですが、政子さんはそれを許しませんでした。
そのため、頼朝さんは隠れるように女性のもとへ通っているのです。
政子さんも政子さんですが、頼朝さんも頼朝さんですね。
子供たちに先立たれてしまう!
・長女大姫
頼朝さんと対立していた源義仲さんとの和睦の条件として、義仲さんの子・義高くん11歳と大姫6歳は結婚。
しかし義仲さんは再度頼朝さんと対立します。
義仲さんは頼朝さんに敗れ、12歳の義高くんもそのいざこざで亡くなってしまいます。
大姫はその悲しみから病に伏せるようになり政子さんは大激怒、頼朝さんは怒られてしまいます。
政子さんは回復を願い寺社に参拝したり、新たな縁談を持ってきますが、病が回復することなく20歳の若さで亡くなってしまうのです。
その2年後に頼朝さんも亡くなっています。
・次女・乙姫
頼朝さんの死と同じ年に重病になってしまいます。
京から鎌倉に名医を呼び寄せますが回復せず、14歳の若さで亡くなりました。
その医者が朝廷からの命で毒を盛った説もあるんですが…。
・2代目将軍・頼家
若い頼家さんの独裁政治に老家臣たちが反発。
数々の問題を起こしたり、蹴鞠遊びに明け暮れる毎日。
ついに政子さんに将軍職を剥奪され、伊豆の寺に出家させられてしまいました。
その後、23歳で暗殺されてしまいました。
・3代目将軍・実朝
実朝さんは頼家さんとは違い良き将軍でしたが、身体が弱く病気がち。
そしてなんと、28歳の時に、頼家さんの子供に暗殺されてしまったのです。
政子さんは、頼朝さんや子供たちが亡くなる度に、自身も共に死のうと考えています。
とても心の弱いお方なのです。
まとめ
「悪女」といった一面は、将軍職に就いた子たちが次々と変死し、それに対して、実家の北条氏が力を付けていったためにそう呼ばれるようになってしまったといわれています。
夫や子がどんどん先に亡くなり、最後は1人になってしまう辛く寂しい人生。
頼朝さんへの嫉妬も、自分の心の弱さの表れだったのではないでしょうか。
政子さんは、少しも「悪女」と呼ばれる理由などないと言えますよね。
コメント